投資信託の共通KPIとは・見方|リスクとリターン(顧客の損益)を3つの指標で見える化

2017年に金融庁で「金融事業者は、顧客本位の業務運営をすべきではないか」と議論されました。これまで、投資信託は売り手が購入時手数料で儲けるためのビジネスでした。ここにメスが入り始めています。私たち(顧客)が、投資信託を長期的に活用して資産形成できるよう取組みがされ始めました。その一例がNISAです。

2018年6月には、「金融事業者が、顧客本位で投資信託を運営しているか」を客観的に評価するための指標(共通KPI)が公表されました。これにより私たちは、投資信託を購入する際の参考指標を新たに得ることができます。ここでは、共通KPIについて簡単に理解しておきましょう。

1 3つの指標

共通KPIは、次の3つの指標が各金融業者から開示されます。

  • 投資信託の運用損益別顧客比率
  • 投資信託の預り残高上位20商品のコスト・リターン
  • 投資信託の預り残高上位20商品のリスク・リターン

一つずつ見ていきましょう。金融庁の解説では、「20銘柄」と表現されていますが、銘柄とは投資信託の「商品」のことを言うので、ここでは「商品」と記載しています。

2 投資信託の運用損益別顧客比率

簡単に言うと、「その投資信託を購入しているお客さんが、どれくらい利益を得ているのか、逆に損をしているのかの割合」です。イメージは画像1です。

(画像1)

※画像は金融庁ホームページより引用

対象顧客全体を100%とし、それぞれの運用損益に該当する顧客数比率の棒グラフです。運用損益の区分は次の8つです。「+50%以上」、「+30%以上+50%未満」、「+10%以上+30%未満」、「0%以上+10%未満」、「-10%以上0%未満」、「-30%以上-10%未満」、「-50%以上-30%未満」、「-50%未満」。

公表の基準日は、毎年3月末です。更新頻度は年次で、初年度は1年分、次年度は過去2年分、3年度以降は、過去3年分を公表です。

もちろんプラスの割合が大きい方が良いですが、注意点があります。できて間もない投資信託で、運悪く市場全体が低迷している場合、おそらくこの指標ではマイナスの割合が高くなるでしょう。それはどの投資信託でもそうなので、初年度だけのデータの場合、市場全体(例えば日経平均やTOPIX)も考慮する必要があると考えています。

3 投資信託の預り残高上位20商品のコスト・リターン

ここでは、投資信託1年間のコスト(購入時手数料や、信託報酬などを合算したもの)と、過去5年間のトータルリターン(年率換算)・損益の関係性を見える化しています。イメージは画像2です。プロット(点)がそれぞれの投資信託の商品を表しています。その金融業者の取扱商品が1つしかなければ、1つの点のみです。

(画像2)

※画像は金融庁ホームページより引用

残高加重平均値とは、その金融業者の取扱商品すべてで平均化したものです。ですので、あくまでその金融業者が全体で良い運用をしているか、どうかを示したもので、本当に良い商品がどれかは個別に見る必要があります。

公表の基準日・頻度は、「1.投資信託の運用損益別顧客比率」と同じです。

4 投資信託の預り残高上位20商品のリスク・リターン

先ほどは、コストとリターンの関係性でしたが、次にリスクとリターンの関係性です。投資信託でいうリスクとは、リターンのばらつき(標準偏差)を言います。

イメージは画像3です。リターンは、先ほどと同様に過去5年間のトータルリターン(年換算)・損益です。リスクは、過去5年間の月次リターンの標準偏差(年率換算)です。

(画像3)

※画像は金融庁ホームページより引用

ここでわかるのは、「ばらつきが小さく、リターンが大きい」方が優良な投資信託と言えます。グラフで言うと、横軸は左(低)で、縦軸は上(高)。

公表の基準日・頻度は、「1.投資信託の運用損益別顧客比率」と同じです。

見方はそんなに難しくないと思います。まだ公表されている金融業者は少ないです。これから徐々に増えてくるかもしれません。あくまでこれらの指標は過去のデータなので参考程度に見ておくと良いでしょう。

以上です。